2009年 05月 19日
妖術と暴力 |
南アのプレトリアの出版社から出版された論集。このテーマだと手に入れない訳にはいかない。が、たった170ページほどの本で、本屋によっては3万円以上の値付けがされていたり(高すぎ~)、まあ、結構探し回ってようやく入手できたのだが、編者自身の巻頭論文を読んでぎゃふんとなってしまった。
テーマはアパルトヘイト体制打倒後の民主化された南アでの妖術がらみの殺害の多発、妖術信仰を取り締まる植民地期以来の法律と民衆の正義感覚の齟齬、等々といった、近年のアフリカで大きな問題になりつつある領域の話であり、人々にとって妖術がもつリアリティを正しく評価しなければならないという多くの論者と同様な議論の流れではあるのだが、この著者はさらに進んで(進みすぎて)妖術が実在する、つまりそれは目に見える現実の背後のサイキックな秩序に関係していて、そうしたサイキックな力で人に危害を加えることができる者、またそうした手段が本当に存在するのだ、というところまでイッテしまっている。
で、妖術法を改正して、本物の妖術使いを法でちゃんと裁けるようにしないといけない、などと言いはじめる。う~ん、これはだめでしょう?ほとんどトンデモ本の水準だ。
最近やけにトンデモ率が高いなぁと嘆きつつ放り投げようとしたが、思いなおしてそれ以外の論文も読んでみたところ、残り(特に第二章~第四章)はまともな議論だった。というか南アのアパルトヘイト闘争に全く新しい光を投げかける面白い論文群だった。あ~、良かった。南アの研究者優秀~。
というわけで、アパルトヘイト後の南アの文化状況を知るには格好の一冊。ただし巻頭論文は飛ばして読むこと。
テーマはアパルトヘイト体制打倒後の民主化された南アでの妖術がらみの殺害の多発、妖術信仰を取り締まる植民地期以来の法律と民衆の正義感覚の齟齬、等々といった、近年のアフリカで大きな問題になりつつある領域の話であり、人々にとって妖術がもつリアリティを正しく評価しなければならないという多くの論者と同様な議論の流れではあるのだが、この著者はさらに進んで(進みすぎて)妖術が実在する、つまりそれは目に見える現実の背後のサイキックな秩序に関係していて、そうしたサイキックな力で人に危害を加えることができる者、またそうした手段が本当に存在するのだ、というところまでイッテしまっている。
で、妖術法を改正して、本物の妖術使いを法でちゃんと裁けるようにしないといけない、などと言いはじめる。う~ん、これはだめでしょう?ほとんどトンデモ本の水準だ。
最近やけにトンデモ率が高いなぁと嘆きつつ放り投げようとしたが、思いなおしてそれ以外の論文も読んでみたところ、残り(特に第二章~第四章)はまともな議論だった。というか南アのアパルトヘイト闘争に全く新しい光を投げかける面白い論文群だった。あ~、良かった。南アの研究者優秀~。
というわけで、アパルトヘイト後の南アの文化状況を知るには格好の一冊。ただし巻頭論文は飛ばして読むこと。
by Kalimbo_mwero
| 2009-05-19 23:12
| anthropology
|
Comments(2)
Commented
by
takanasi
at 2009-05-22 21:15
x
そういや日本でも戦後になってすら丑刻参り事件なんてのがありましたね。
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by
Kalimbo_mwero at 2009-05-25 23:32
どんな社会にもオカルト的なものが噴出することはありますね。今、アフリカをやってると、この妖術=呪いをめぐる不安と、それが現実に引き起こしてしまう暴力が、すごく気の滅入る問題のひとつなのです。