2012年 11月 13日
都市のキリスト教 |
モンバサ南海岸リコーニの新開地(majengo maphya)でもキリスト教の活動がすごく活発化している。カタナ一家がモンバサにいるときには通っているこの教会も、そのひとつ。カンバ人のエリジャ牧師ひきいる「声の教会(kanisa ra voice)」、正式名称 The Voice of the Lord Jesus Ministry Church は、まだ発足新しく、資金難のため自らの教会の建物をもっておらず、幼稚園の一室を借りて、日曜ごとにサービスを行っている。カタナ君が言うには、エリジャ牧師は資金はないが、すごい力がある。妖術使いに対抗する力である。
教会のサービスは、少女合唱隊の歌と踊りあり、寸劇ありのちょっとしたショーパフォーマンス仕立てで進行する。合間合間には、参加者全員が立ち上がって歌い踊り、隣り合った人たちとハイタッチ(みたいな)をしたり、「お前は救われたか」とか「お前はここでは歓迎されている」みたいな定型的な言葉を交し合う。クイズコーナーもあり、牧師が聖書にまつわるちょっと頓知っぽいクイズを出し(イエスの祖父は誰でしょうとか)、正解者にはキャンデーが与えられる。全体にバラエティ番組のような趣向だ。
ひとしきり出し物が終わると、エリジャ牧師の説教が始まるが、最初に短い聖書からの引用があった以外は、あとはなんともっぱら妖術使いの話になる。妖術使いや悪霊がどんな妖かしの業を行うか、とか施術師たちのたくらみ(病気を治したと称して、別のところに病気を移し、なんども彼の世話になるようにし向けるとか)がおもしろおかしく語られ、みんなも喜んで聞いている。もちろん結論は、こうした連中、妖術使いや悪霊や施術師たちに屈してはならず、それらに打ち勝つのはイエスだけだという主張に落ち着くので一応キリスト教の話だ。
その後は「祈願」なのだが、これこそがメインで、人々はいそいそと椅子を片付けて広いスペースを確保する。エリザベスの教会と同じく、ここでもバタバタ人が倒れて、エリジャ牧師による霊払いが行われる。合唱隊の少女も、一般の参加者も、バタバタ倒れる。倒れた女性たちはかなり暴れるので、衣服のすそが乱れないように周囲の女性が彼女の足を縛ってやったりしている。牧師は大声で悪霊に語りかけ、悪霊自らに、何者で誰に遣わされたのかを名乗らせ、立ち去ることに同意させようと交渉するのだが、その際に使われるのがやはりイエスの火である。出て行かないなら火でお前を焼くと脅しながら牧師は口から「シューシュー」大きな音を出す。火を悪霊に押し当てているところなのだという。悪霊は、熱い熱いと泣き喚き、やがて退出することに同意し、バイバイと手を振る。倒れた女性のなかには、妖術使いによって身体にモノを打ち込まれた者もいる。彼女らは、外へ出せ、外へ出せという人々のかけ声に合わせて、身体のいろいろなところを自分でむしるような仕草をする。それによってモノは患者自身の手で身体の外に取り出されることになる。見えないが。
この間、ずっとシンセサイザーで単調な音楽が演奏され続けているのが、なんとも不思議な雰囲気を醸している。面白い。
でも朝9時に始まって、午後4時になっても終わらないのはいかがなものか。私は腹ぺこで、ちょっぴり不機嫌になってしまった。部屋にこもった熱気と、熱いトタン屋根のせいで汗がだらだら流れて、頭痛までしてきた。キリスト教徒はたいへんである。
あきらかに、これらの新手のキリスト教の諸セクトは、普通のペンテコステ派よりもさらにはっきりと、妖術世界にチューンをあわせ、妖術使いに対抗することを明示的な活動として展開しているようにみえる。これからどんな風になっていくのか、興味がある。私自身は研究対象にする気はないけれど....(O君がんばってください)
ひとしきり出し物が終わると、エリジャ牧師の説教が始まるが、最初に短い聖書からの引用があった以外は、あとはなんともっぱら妖術使いの話になる。妖術使いや悪霊がどんな妖かしの業を行うか、とか施術師たちのたくらみ(病気を治したと称して、別のところに病気を移し、なんども彼の世話になるようにし向けるとか)がおもしろおかしく語られ、みんなも喜んで聞いている。もちろん結論は、こうした連中、妖術使いや悪霊や施術師たちに屈してはならず、それらに打ち勝つのはイエスだけだという主張に落ち着くので一応キリスト教の話だ。
でも朝9時に始まって、午後4時になっても終わらないのはいかがなものか。私は腹ぺこで、ちょっぴり不機嫌になってしまった。部屋にこもった熱気と、熱いトタン屋根のせいで汗がだらだら流れて、頭痛までしてきた。キリスト教徒はたいへんである。
あきらかに、これらの新手のキリスト教の諸セクトは、普通のペンテコステ派よりもさらにはっきりと、妖術世界にチューンをあわせ、妖術使いに対抗することを明示的な活動として展開しているようにみえる。これからどんな風になっていくのか、興味がある。私自身は研究対象にする気はないけれど....(O君がんばってください)
by kalimbo_mwero
| 2012-11-13 21:08
| anthropology
|
Comments(0)